
泣いてもいいという安心感を与えられる男になりたい
俺は思うんだけど、女性っていうのは、心休まるときがないのかなって。いくら、女友達が多いっていっても、親友以外は基本的に「気を使う」間柄だし、職場での人間関係だって表面上の付き合いなわけ。家族とはうまくいっているとはいえ、頻繁に会える距離ではない。そうすると、やっぱり彼氏といるときだけでも「心休む」時であってほしいなと思うんだ。俺は彼女がストレスなんかで泣き出すのを見ると、ほっとする。本当は心配すべきことなんだろうけど、「あ、ようやく俺の前でも素直に泣いてくれるようになったのか」と感慨深くなるわけだ。やっぱり、女の子だから彼氏の前で気を使うのは当たり前。嫌われたくないだろうし、もっと好きになってほしい、そう思うとなかなか本当の自分を出せなかったりするんだろうな。でも、こっちとしては、そんな「仮面」をつけたような生活はイヤだ。もっと、彼女の本当の姿を知りたいし、その本当の姿を好きになりたいって思う。だから、「ああ、やっと仮面を外してくれたか」とはっきりわかるのが「目の前で泣く」という行為なんだ。家に帰ってきた彼女。うつむき加減で明らかに元気がない。「大丈夫?」俺は一声かける。「大丈夫。でも、10分だけ泣かせて」そう言う彼女。「おー泣け泣け」俺はそう言って放置。彼女はソファに座りクッションを抱きしめながら音も立てずに泣き始める。そして、少しずつ小さな吐息と鼻水の音が聞こえ出す。俺は女の子の涙ってめちゃくちゃ可愛いなって思う。もう今すぐ抱きしめたい。しかし、ここで抱きしめたらダメなのだ。もう少しの辛抱。今はひとりで泣きたいのだ。それにあたり、俺は同じ空間にいることを許された唯一の人間。彼女の「結界」を壊したらそんな光栄な資格はすぐに剥奪されてしまうだろう。「ちょっと来て」しばらくしてから彼女からそう言ってきた。待ってました、とばかりに俺は近づく。そして、抱きしめてたくさん慰めてあげるのだ。これも彼氏の大事な任務だ。